| YABAJINの事件簿 2006年 ファイル1・・・『桑田事件』 それは7月のある夜の事だった。それは恐ろしくヒマな夜なのだった。 そんな夜は例のごとく自慢の43インチのプラズマTVで、例のごとく「男はつらいよ」を見て いたのだった。 確か、太地 喜和子がマドンナの第27作“夕焼けこやけ”だったハズである。時計は22:30 を過ぎていた。宮沢はキッチンにこもって料理を仕込んでいた。 その時、店の扉が静かに開いた。人の気配と廊下の明かりが暗い店内に流れ込んだ。 とっさに振り向いた私の視線の先には、見たことの無い坊主頭の若い男が半身だけ店内 に入り込み、店内をキョロキョロと物色する姿があった。 私の表情は一瞬にして不快感でゆがめられた。 「なんだ。あっ!」とドスの利いた声で、男に鋭い視線を送る。 すると男は「ここはワインバーか?」と問う。 「そうだ、何か用か!(コラ)」と私。 「どんなワインがある?」と男。 「どんなワインが飲みてえんだよ!(コラ)」と私。 「カリフォルニアのパンチのあるワイン」と男。 「ハンっ」と鼻で笑って「そんなワイン置いてねぇよ。帰れ、帰れ」と右手でヒラヒラと追い出 してやった。 ふん、カリフオルニアなんか置いてられっか。おれっちのワインはブルゴーニュと決まって んだ!! と、しばらく鼻息荒く憤る私なのであった。 それから30分位過ぎた頃、店の電話が鳴った。 近くのワインブティック“アッシュ・ド・ベー”の店主・阿部さんからだった。 「斎藤さん、これから三人紹介したいんだけど、席ある?」 「おぉー、ヒマだから大丈夫。是非紹介して 「実は巨人の桑田なんだけど...いい?」 「なっ、なにーっ。大・大歓迎するから、スグよこして。」 その昔、高校球児だった私は興奮した。桑田と言えば、私の1コ上である。当時の高校 球児にとって、桑田は雲の上の存在であり、目標であり、憧れだった。 その桑田が、私の店に来る。 大興奮の私は仕込み中の宮沢を引っ張り出し、「オイッ、巨人の桑田が今から来るゾ」 と言うと、昔ソフトボールで国体の代表選手だった宮沢も「何ですとー!」と大パニックに 陥り、二人して意味もなくカウンターを拭いたり、嫁にメールしたりして大緊張でその時を 待った。 ソワソワと来店を待つその時、再び電話が鳴った。 アッシュ・ド・ベーの阿部さんだった。彼は言いにくそうにこう言った..... 「何だか、さっきR.Bを訪ねたらしいケド.....追い返されたって言ってるんだけど....」 へっ?? 何?? ガ、ガーン。 そっ、それじゃー、さっきの不審な坊主男がそうだったのか? でも、あれは桑田じゃなか ったゾ? 「お付の人らしいですョ.....」と阿部さんの声。 それなら、それと言ってくれなくちゃ.....。結局、桑田は来なかった....。 ついでに他にも客はこなかった...。この時ホド、おのれの横柄な態度を悔やんだ事は なかった......。 追伸 桑田真澄どの。引退前に仙台に来る機会があったら、是非寄ってね。 サービスするから 以降、R.Bにもカリフォルニアワインが置かれる様になったのは言うまでもない。 |